ステイローゼン

 現在ではGTの常連組と言われるようになってしまったローゼンカバリーとステイゴールド。 ここではそんな彼らの直接対決を振り返って見ようと思う。さて、この両馬は過去7回対戦して いる。結果は現在のところ、ステイゴールドの7戦6勝となっている。しかし、過去7戦と もこの両馬がそのレースを制したことはない。ではまずデータから。


 ローゼンカバリー 牡7歳 黒鹿毛 30戦7勝
  94.6.1生  鈴木康弘厩舎 白老 社台ファーム

  サンデーサイレンス(89米年度代表馬)
  ダイナフェアリー (G3・5勝)
   ノーザンテースト(11年連続リーディングサイアー)

 勝ち鞍:日経賞、目黒記念、AJCC、セントライト記念、しゃくなげS、水仙賞、新馬


 ステイゴールド   牡6歳 黒鹿毛 29戦3勝
  95.3.24生 池江泰郎厩舎 白老 白老ファーム

  サンデーサイレンス(現チャンピオンサイアー)
  ゴールデンサッシュ(0勝)
   ディクタス   (ジャック・ル・マロワ賞)

 勝ち鞍:阿寒湖特別、すいれん賞、未勝利
 負け鞍:天皇賞・春秋、宝塚記念各2着、宝塚記念、有馬記念各3着


 比較してみると、両馬が似ていることに気付く。共に黒鹿毛、馬産地としては マイナーな白老産、そして息の長い競走生命&ズブさ。血統に少し違いがあるが、ステイゴール ドの母・ゴールデンサッシュの母の父にノーザンテーストがいるので62.5%の割合で同じ血が流 れていることになる。腹違いの兄弟よりちょっぴり近親と言えるか。しかしこんな事をいうとダ ンスインザダークやスペシャルウィークも兄弟になってしまうのでイカン。
 ローゼンカバリーにはなくステイゴールドが最近では滅多に見れないがたまに見せていた一瞬 の脚はディクタスの違いではないかと思う。そしてサンデーサイレンス産駒では珍しいこの競走 生命の長さ、もしくは成長力だがポイントはこのズブさにあるのではなかろうか。一般的にサラ ブレッドは切れる脚を使う馬ほど怪我をしやすいし、はやく引退してしまう。これをふまえると 末脚は消耗品であるといえる。特に次元を越えた一世一代の末脚を使ってしまった馬はその1戦 を最後に競走生命を終えるなどということがよくある。つまり切れる馬は勝ちやすいがすぐ消え てしまう。ズブイ馬は歯痒いレースが続くが長く楽しめる。
 今や終生のライバルとなったステイゴールドだが、もう一つ、2頭が似ている点が馬体、いや、 走り頃と言った方がいいか。ローゼンカバリーは480kgの時が一番良く見せる。しかし来ない。 490kg台で少しボテッと見せてた時の方が好走している。一方、小柄なステイゴールドは430kg台 がふっくらしていて理想的なのだが、かなり細くてヤバそうな時に来たりする。ダイヤモンドS は確か410kgで牝馬みたいな体をしていた。この日はブラックホークが900万下に出走していたた め競馬場に行っていたわけだが、パドック診断士としてまだまだ未熟だということを実感した一 日だった。

 そろそろ対戦内容の方に入ろうか。下記の表は上段左からレース名、頭数、走破タイム、ペー ス、勝ち馬、中段はローゼンカバリー、下段はステイゴールドで左から人気、着順、斤量、騎手 、ブリンカーの有無、走破タイム、2、3、4コーナーでの順位、上がり3ハロン、3文字熟語 となっている。

日経賞   12頭 2.34.4S テンジンショウグン
1人3着 58横典B 2.34.7 732 35.3 直一先
5人4着 56熊沢 2.34.9 887 35.3 後漸進

天皇賞・春 14頭 3.23.6S   メジロブライト
5人3着 58横典 3.24.0 141010 34.2 後伸も
10人2着 58熊沢 3.23.9 776 34.3 中伸る

宝塚記念  13頭 2.11.9H  サイレンススズカ
7人7着 58横典B 2.12.7 131311 35.2 後漸進
9人2着 58熊沢 2.12.0 862 35.3 中伸る

京都大賞典 7頭 2.25.6M   セイウンスカイ
5人5着 58吉田B 2.27.0 665 35.8 追上退
2人4着 57熊沢 2.26.2 444 35.1 追上退

天皇賞・秋 12頭 1.59.3H オフサイドトラップ
9人10着 58横典 2.01.0 121211 35.0 後方尽
4人2着 58蛯名 1.59.5 444 36.0 好伸る

天皇賞・春 12頭 3.15.3M スペシャルウィーク
9人6着 58菊徳 3.16.6 887 34.9 中漸進
6人5着 58熊沢 3.16.2 554 34.8 好位尽

宝塚記念  12頭 2.12.1M   グラスワンダー
4人4着 58菊徳 2.13.9 11116 36.6 後伸も
7人3着 58熊沢 2.13.7 454 36.7 好伸も

 全対戦成績を記してみたが人気や斤量に関わらずどんな展開であっても道中前に位置していた 方が先着するというこの上ない明確な結果が出た。上がり3ハロンのタイムが4コーナーの位置 取りに関係なくどのレースでも似ていることがそれを如実に示している。

 オグリキャップVSタマモクロス、メジロマックイーンVSメジロライアン、そしてローゼン カバリーVSステイゴールド。ここから導かれるものは「勝ちたければ前に行け」ということで ある。これからも平成の名勝負を繰り広げていってもらいたい。

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