東北楽天&福島競馬遠征記      


 
 岩隈に捧ぐ ブレたら負け
 


 岩隈まさかの2回炎上。翌日こちらに飛び火 ―― 新潟、札幌に続くグイッポご一行様の次なる目的地に選ばれたのが福島競馬場。私の中央競馬全10場制覇の最後を飾るべく、地元出身者2人が脇を固めそれはもう華やかなものになるはずだったのだが、その顛末は・・・。遠征においてかつてないほどのパフォーマンスの低さを露呈することとなってしまったみちのく行脚について簡単に記そう。


 岩隈vs清水のエース対決。息詰まる投手戦をひと目観ようと遥々フルキャストスタジアムにまで足を運んだ一行だったが、待ち受けていたのは強風に煽られ柳のようにユラユラと軸を振らし制球のまるで定まらない本拠地の無惨なエースの姿だった。

 先頭打者に粘りに粘られ10球目を安打されると立ち所にリズムを崩しあれよあれよの大乱調。一回表が終わるのに40分、そしてまさかの降板劇となった二回表までですでに1時間20分が経過していた。失点10。スミイチばりの緊迫した試合展開を期待していた私には当然受け入れられるすべもなくそのやり場のない焦燥感はすべてビアへと向けられていくのだった。

 対する一方のエース、清水はというと千葉マリンに比べようもなしと風に熟達した安定感で凡打の山を築いていく。以後は楽天側も替わった投手陣がよく持ちこたえていた。

 アルコールがほどよく回った私。早々に目玉を失い遅々として進まぬ試合からは急速に興味が失われていき序盤にしてスタジアム周りの見物に出たりもした。ゆるりと1周する頃にはゲームは中盤を終えようとしていた。なんとその後のスコアに緩みが見られない。結局この日、調子が悪かったのは当の岩隈だけだったのだ。ブレたら負け、実に名言である。



フルキャストスタジアムに向かう5人
フルキャストに向かう5人

 タクシーの運ちゃん曰く「建物は昔の造りのままだから汚い」とはいえ、見た目はとてもきれいに修復してあるように見えた。


スタジアム全貌とスコアボード
スタジアム全貌 スコアボード

(左)確かに狭い。来年には内野席の高さをアップして岩隈を風から守るとかどうとか。
(右)電光掲示板に様変わり。手書きボードのままでも風情があってよかったのではないか。


ロッテファンと楽天チアガール
ロッテファン ワッショイギャルズ

(左)今日も元気だ、ロッテファン。
(右)東北楽天ワッショイギャルズ?


燃えプロ視点
燃えプロ視点
 

 
 仙台といえば・・・牛タン 食い損ね
 

 投手戦の淡い期待は早々に打ち砕かれ、塩釜では「全国でも評判のすし屋」ののれんに拍子抜け、度重なる頭痛により地元民の案内する極上牛タンを食いそびれ、トドメは仙台駅前での愛用カメラ落下事件。思い返せば返すほどいい思い出が浮かんでこない仙台横行だったわけだ。というわけでここでは写真で簡単におさらい。


山本整体院と総合運動場
山本整体院 総合運動場

(左)おいおい、手を抜いたらダメだろ〜ってな具合で、スタジアムの敷地から対角線のコンビニ脇にあった整体院。診療はちゃんとやってるとは思うが。
(右)フルキャストスタジアムに隣接された総合運動場。間違ってこっちに行くやつは・・・いねぇが、さすがに。


楽天応援団と仙台育英高校
楽天応援団 仙台育英高校

(左)これが岩隈を葬り去ったみちのくの風。
(右)なんと!高校野球ファンにとっては目にするだけでうれしくなってしまうみちのくの強豪校。


JR本塩釜駅とすし哲
JR本塩釜駅 すし哲
すし 特上 まぐろ串焼

 事前検索の結果を踏まえて、大衆評価が無難だったすし哲へ。しかし確かに全体的に旨くはあるがイマイチ決め手に欠けた。伊豆のまぐろや小樽のサーモンのようなご当地特有の切れがない。敢えて挙げるとすれば身のしっかり詰まったあなごとプリプリで弾けるようなぼたんエビが◎かな。駅構内での喫煙を注意された輩が一人。


このタクシー群、キモくないか?
このタクシー群、キモくないか?

その光景、まるで王蟲のよう。


ありつけなかった真とろたん
真とろたん 真とろたん

一生の不覚・・・


 ご同行の皆さん、気分不良によるグッタリでその節は申し訳。もう十二分に償いは受けましたから。まっすぐ宿に戻ればいいものの駅でお土産に加えてビールなんかをまとめて買うもんだから手元が荷物でいっぱいになり「スパコ〜ン」と。何か落ちたなと思ったら他でもないカメラじゃないですか。たまらんな、あの仕打ちは。この借りは福島競馬で挽回するのさ〜。


 

 
 番外編:事件は仙台市青葉区小田原6丁目で起きている
 

 仙台の街中でその後の行動を別にすることとなった8人。私を含む4人は一旦駅に立ち寄りお土産とツマミをひと通り仕入れた後、タクシーで1kmほど離れた寝床へと向かった。車泣かせな城下町たる所以か、宿が一方通行だらけの路地裏にあるため大通りで降ろされた一行。「こっちだったっけか」と4人が4人散り散りバラバラになって右往左往を繰り返す。入り口の鍵を残りのパーティーに渡してしまったため一応の門限である22時半までに着かねば我々は締め出しに遭ってしまうのだ。季節柄、凍死するわけではないが早く帰っておきながら門の前で待ちぼうけではこの日一日における一連の負の流れの締めとして最高にカッコ悪い。

 一人が昼間タクシーを拾った場所で目印にしていた薬局を見つけ声を上げる。その瞬間だった。

「カマくん!!!」

 我々4人の存在しない闇の中からパーティーの一人を呼ぶ声が飛んできたのだ。突然のアナウンスに対して呆然と振り返る私ともう一人(通称・カマーチョ)。声の主は、なんとまあ私とは小中学校が同じで少年野球のチームメイト、そしてカマーチョとは中学が同じで軟式テニス部でのダブルスのパートナーを組んでいた男であり、しかも私の実家とその男の実家は距離にして30mも離れていない、いわば幼なじみのようなものだった。私が4年前に実家を出、そして向こうも就職のため遠方に赴任した旨は風の噂で聞いていたがそれがこんなみちのくの路地裏で出くわそうとは。

「何やってんだよ?」

と先に切り出したこちらに対して、この家着そのままのジャージ姿はぬけぬけとこう言い放った。

「だってオレの家あそこの裏だもん」

 転勤になり半年前から仙台に住んでいるとのことだった。

 面白いもので競馬はいろいろなものを惹きつける。あれだけ10万人以上を収容する競馬場でもなぜか縁遠い知り合いとたまに遭遇してしまう不可思議なる引力。今回も福島競馬に行こうという話が出て、楽天のホームゲームが開催していなければ万が一つにもここに来ることはなかったわけで数奇な縁を感じざるを得ない。

 こうして無事宿に到着した我々。何年振りかの再会に二人して仰天の声は止むこともなかったも、カメラの不幸をしばし思い出しグビグビッとビールを飲み干しそのまま寝込んだのだった。


 

 
 カープファン 予想大会優勝おめでとう
 

 こうして写真を眺めてみるとただ競馬場に行っただけだと思っていた淡白な2日目もいろいろ逸話があったことを思い出す。前夜23時に早々とKOされた私なだけに翌日の朝は早かった。6時半に出るぞ、と意気込むもワイヤレスLANが接続することに満足したあと二度寝。結局宿を出たのは9時頃だったか。


早朝の記念撮影
ウインRCサポーターズ

早く出てきてね、ボクらの愛馬チャン達。写真はサポーターのお二人。


JR仙台駅とミスキャスト
JR仙台駅とミスキャスト

 前夜のカメラ落下事件の忌わしい記憶が甦る。どうせ1Rには間に合わにゃあと駅ビルの牛たん&寿司通りで昨日のすし哲のリベンジに挑むことに。しかしなぜかその前に鶏の照り焼きの名に魅せられて駅弁を買っていたなぁ、そういえば。


気仙沼あさひ鮨 仙台駅店のちらしと別注にぎり
気仙沼あさひ鮨 仙台駅店のちらし 別注・サーモンとかんぱちのにぎり

(左)たしか名前は≪潮吹き≫だった。開店前の朝礼時、すでに店の軒先にたむろう野郎の群れ。従業員にとってははた迷惑な話千万だったろう。だからっておばちゃん、私のだけオーダー間違えないでよ。久々のちらしだっただけにこっちの方が感触ベターかも。
(右)自分の舌と店との相性をチェック。ここでビアを口にしたことで今後の戦いに自ら幕を引くこととなる。しかしご馳走を前にして飲まずにいられますかという話。


 


 
 中央競馬全10場制覇はひっそりと
 
福島牝馬S

 結果的に見て福島競馬で一番盛り上がったシーンは全10場制覇達成の瞬間でも、福島牝馬Sでの万券ワッショイでもなく、前夜瀕死の私を尻目に推し進められた駅弁争奪プロジェクトだったことになる。その内幕とは一人1000円ずつ出資した上で、週末のJR東日本全線乗り放題(新幹線含む)チケットを持っていた恥人が仙台と福島の駅で多種多様な駅弁を人数分買い漁り、一定の順位付けに従ってグ民一人一人に分配するというもの。上は1500円の豪華弁当から下はサンドイッチまで、予算内で取り揃えられたメニューはそれはもう多肢多彩だった。ランク付けに用いるツールは福島1Rの着順で、と定められた。フルゲート16頭から内枠の1番〜8番の8頭に絞り馬柱を見る前に各々が好きな番号を選んでいく。全員が選択後、新聞を開いてまずそこで第一笑。私の馬はこの企画を持ち出した恥人の馬と並んで圧倒的なドン尻候補だったからだ。

 光景を写真に残しておけばよかったのだがゴール板前に陣取った我々のビニールシートの上には8種の弁当が高価なものから順に数珠繋ぎに並べられた。この時誰かが1つの提案をした。

「単純に値段順に羅列するんじゃなくて、真ん中辺りに外れを埋め込んだらおもろいんじゃん」

 黙っていたら自動的にサンドイッチが手に届く最前列の一角にいた私、この提案に便乗しない手はない。口々に「3位だ」「6位だ」の声が舞う中、結局5番手の位置に落ち着いた。

 果たして1Rの発走。と、言いたいところだが我々はまず宿発が出遅れ&仙台駅で鮨三昧だったためこのとき時計の針はすでに午後を刻んでいた。オッズプリンタのレース成績では5位までしか記載がないため携帯から着順を読み上げることとなった。正確な流れはすでに覚えがないのでキーボランチ、いや、キーポイントだけを振り返ろう。1位から順に呼ばれる歓喜の輪に私の馬が割り込めるわけもなく問題の5位を迎える。残るは4人。果たして、サンドイッチマンの栄誉は誰の胃に・・・

 なんと、居残る人気馬を抑えて5位と健闘したのは恥人の馬だった。このイベントを企画したオーナーが会の成功のため重い弁当箱を持って奔走する姿に心を揺らしたのか、期待以上の激走を見せ、見せすぎた故のサンドイッチ直行だった。ま、要は落ち着くところに落ち着いたという感じでしぶしぶパンを食む姿がとても画になっていたものだが。こうなると主役がスターダムにのし上がった後はどうでもよく私の馬は従順に8位をゲットし、キティちゃん弁当を咥えてきた。皆が分け与えられた弁当を突付く中で私一人、自腹で買っていた照り焼き弁当を食っていたのがまた何とも。キティちゃん弁当は結局入れ物のケースを残して廃棄のメに至った。


 肝心の競馬の方は、中盤のやり取りをスっ飛ばしていきなりメインレースの4コーナーへ。確か馬券はチアフルスマイル・マイネヌーヴェル・オルレアン・メイショウオスカルの3連単BOXを握っていた。抜け出しのタイミングを今か今かと図っているメイショウオスカル。これはもう当確。それに対して外からマクリ気味にマイネヌーヴェルが進出し、そして内からはチアフルスマイルが突いてくるはず。これぞ、金杯を勝利へと導いた栄光のフォーメーション。「そのまま!そのまま!」と絶叫の雨霰。カメラを持つ手が武者震いでがくがくになり狙いを定める間もなく我々の前を大挙駆け抜けていった18頭。私が2番手入線の馬の見間違いに気付くのに然して時間はかからなかった。

 こうして、中央競馬全10場踏破のクライマックスはこれまで投資してきたJRA預金の暗証番号漏洩や満期による引き落としなどの手厚い見返りも何もないまま、オケラ道への一方通行をこれからもガンガン邁進してくださいねという啓示のみで至極簡素に終わったのだった。



福島競馬場 スタンド ゴール板 パドック
福島競馬場 スタンド 福島競馬場 ゴール板
福島競馬場 パドック

福島牝馬S 1周目
福島牝馬S 1周目


 普段なら大した量にはならぬ国内遠征がこうしてある程度の大きさになったところに気軽に楽しめるブログの偉大さを感じて、この項を〆たいと思う。次の目標はサーキット2周目かな。とりあえず秋の京都へレッツディープ。