ウォークインザパーク
 

No.6
2003/04/16 (Wed)

ハイドパークにて  昨夜、1時前にはベッドインしたもののなんとこの日の起床は3時45分。ゲーム当日という研ぎ澄まされた緊張感がそうさせるのか、しかしキックオフはまだ14時間も後のことだった。脚の痛さはもちろんMax。だがもはや手馴れたもので外はまだ暗闇の中落ち着き払って机に向かうと前日起きた目まぐるしいイベントをメモり始めた。ちょうどテレビでは前日行われたイングランド1部リーグ(プレミアの1つ下部のリーグ)のハイライトをやっていて中継こそタイミング悪く見逃してしまったがランキングを見ると川口の所属するポーツマスはここまで首位を独走している模様。来期もし第1、第2キーパーが運良く?故障などするようならプレミアで川口の雄姿が拝めるかもしれない。まあ契約を続行していればの話なのだが・・・。続いてPace Makerでニューマーケットの予習を始める。昨日の一件で自身かなり警戒を強めたようだが、ロンドンから列車で2時間の道のりは歩いてどうにかなるものでないことは明らかだった。そうこうしているうちに朝日が昇り売店に新聞を買いに行くことに。他紙とは異なりRacing Post紙は毎朝行く度に必ず1紙しか置いておらず普段ワイ以外の購買客がいるのかどうかを疑問に思ったものである。この日は朝押し迫った予定などもなかったため、行けたらホテルのラウンジでイングリッシュ・ブレイクファーストを食おうと約束していたので部屋に赴くがまだ身支度途中で濡れた乱れ髪がセクシーなS氏。そんなことは気にせず部屋に押し入るワイ。とても3日前まで赤の他人だったとは思えない立ち居振舞いだがその分け隔てのなさがまた旅のいいところでもある(のかなぁ・・・)。幾分戸惑いながらも席に案内される2人。広いスペースには他に僅かながら日本人の姿も見うけられた。バイキング形式だったのだが、ひとり暮らしを始めてからというもの普段朝はバターロール2つしか口にしないワイがあり得ない量の食材を次々と皿に盛っている。これ、最終的に誰が食うことになるのかを考えなかったのだろうか。彼との話はこの日の予定から始まり徐々にこの旅の思い出へと移っていった。そう、ワイは追加延泊してあるためまだ後ろに1日残っていたが彼と他の2人は今日が最後のロンドンである。かく言うワイも旅が半分を過ぎたことを物思い愁えてもいた。出会えてマジよかったぜ、とお互いを称え合い一応の最終日となるこの日は初日以来のパーティー行動を取ることに決まった。そうとなれば行動は早い方がいい、ということで会計を済まし足早に部屋へと向かった。

 この日、まず最初の目的地に掲げられたのはハイドパークである。地図で見るとロンドン市街図のほぼ中央左側に緑色で大きく埋め尽くされた箇所があり、これがロンドン随一の広さを誇るハイドパークでその広さはなんと日比谷公園の10倍だとか。時刻は8時半、地下鉄・ハイドパークコーナー駅を降りてすぐの門を潜るといきなりの大歓迎が待ち受けていた。 ハイドパークにて前から2頭が並足で歩いてくる光景を見るなり、機敏な動作でカメラを構えるワイ。ここぞとばかりにシャッターを切ると馬上から「グッモーニ〜ン♪」の声が。こちらも負けず劣らずの気合い乗りを見せ満面の笑顔で返答。微かな眠気などどこからともなく吹き飛んでしまったのは言うまでもない。人間用のアスファルトの路面に並走する形で隣に立派な馬道が設けられていた。ちょうど馬事公宛のそれと似通っている印象を受けた。この時は2頭だけだったがその後遠くから見渡していたところ警備の騎馬隊などもここを通って"出勤"しているようだった。少しだけ歩いたがパサパサのダートは人には向かない。 サーペンタイン湖一路公園の中心を目指すよう進路を取るとサーペンタイン湖というパークを斜めに貫く湖が現われた。中央に浮かぶ孤島は幾種類もの鳥が群れさながら天然の動物園という雰囲気であった。鎖を外し犬の散歩に付き合う老人、ジョギングする母娘、そして新聞を小脇に挿んだスーツ姿の英国紳士。満員の地下鉄で暗い壁伝いに現地へと運ばれていく自身の立場からしてとてもこれが同じ朝の情景とは思えなかった。ここであればたとえふた駅手前で降りてでも歩いて出社する価値は十二分にあるだろう。湖から逸れちょうどパークの中心部辺りで芝生に腰を下ろししばしの休息を取る2人。彼が持参していたキットカットを砕いて蒔いたところハトが次々にやってきて浚っていった。どうやら英国ではハトも甘い物に目がないらしい。まだ午前中だというのに座っているだけでじんわりと汗が滲み出てきそうなほどの陽気。湿度を感じさせないほんのりとした風が心地良い。この日の大衆紙の一面は「ロンドンはカイロよりもアテネよりも暑かった!」のデカデカ見出しとともに昨日の異常気象を伝えたものだったのだがこの日も負けず劣らず、いやむしろそれ以上に暑かったように感じた。ハイネックタートルにジャケットという前日得た余りにもミスマッチな教訓からこの日はシャツに切り換えてみたが結果はあまり変わらなかった。こうして園内をたむろすること2時間ほど、リフレッシュした2人は街に出ることにした。